自己紹介…なのか?

目が覚めたらそこは見慣れた部屋ではなく、知らぬ天井であった。
言葉を話そうにも声が出ず、あぅえーと意味のない音ばかりが漏れる。
四肢も思うように動かず、よく見れば布で包まれているようだった。

ここはどこだ?なぜここにいる?あの人との約束は?と疑問は尽きない。
しばらく天井を眺めていたら女が近づいてきた。

「あら、起きてたの?寝かしつけたはずなのに…」

もう、手がかかる子ね。と女は微笑みながら僕を抱き上げる。
気づいたが赤子になっていたようだ。

戸惑うことしかできず、女が唄う知らぬメロディーに耳を傾けると
なぜだか眠気が襲ってきた。

いかんいかん。こんなところで油を売っている場合ではないのだ!
僕はあの日あの人と約束したのだ!

 …………何を?

記憶に靄が掛かっていてよく思い出せない。
大事なことなはずなのに。
やらねばという気持ちだけが残り、目的がわからない。

「おかしいわねぇ、いつもはこの歌ですぐ眠るのに、、、」

僕が記憶を回していると、女が難しい顔をして覗いてきた。
そうだ、僕は赤子だった。と目の前の状況に向き合う。

ひとまず危害はなさそうだ。
この体では何もできないため、この女が出て行ったあとでゆっくり考えるとしよう。

目を瞑ってやると、やっと眠る気になったかしら?と女が呟いて、
元の横たわっていた場所へ降ろされた。

「おやすみなさい、いい子ね。」

この言葉を最後に女は出て行った。
さて、ここからどうしようか。

 

1話 -完-

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